「福祉の思想」を持った人物に出会ったという感動
拠点 | 福岡 |
---|---|
URL | https://www.chikushi-u.ac.jp |
私と株式会社「友心」代表取締役岩橋氏との出会いは、平成 28 年 10 月 A 市で開催された「生活支援体制整備研究会」の構成メンバーとして出席した委員会の場でした。この研修会の趣旨は、わが国の超高齢社会における 2025 年問題に対応するために国が進めるプロジェクトとして全国の自治体に「地域包括ケアシステムの構築」を目指すもので、その一環として設置された委員会でした。そのため委員会のメンバーは自治会や行政区の役員や高齢者分野の組織や団体の代表者 14 人で構成されていました。その中の一人が岩橋氏でした。
1 回目の委員会では、各委員の自己紹介が行われ、委員の所属及び日頃の活動の背景など聞かせていただきました。彼が最後だったと思いますが、少し緊張気味ではありましたが凛とした態度と歯切れの良い口調で、株式会社「友心」の遺品整理という仕事を通して見えてくる地域社会の実態を生々しく語っていただきました。それは「孤独死」の実態であり、そこから見えてくる家族や親族に対する問題意識や「無縁社会」「社会的孤立」に対にする社会的課題を明確に示していました。そこには、「遺品整理は、不用品の片づけではない。」という信念、そして「想いを大切に、故人の想いと残された側の想いを繋ぐ架け橋であれ。」という会社の理念を強く感じとることができました。
一般的に、株式会社と言えば営利が優先され合理的・効率的な運営がなされるという先入観や印象がありましたが、彼が語る内容に感銘を受けつつ、公益性、社会正義という表現や共感力、受容力、自己選択、自己決定という言葉には社会福祉士として求められる資質と重なるところが多くありました。業界は違いますが久しぶり「福祉の思想」を持った人物に出会った、という感動がありました。
その後、委員会でのご縁をきっかけに社会福祉士を養成する大学での講義に登壇していただきました。若い学生たちにとって「遺品整理」はまだまだ先のこと、という印象で聞いているのかと思っていましたが、岩橋氏の熱の入った語りと映像を通して誰にでも起きうる他人事ではない危険性があることが理解できたようで、普段にもまして熱心に聞き入っていました。受講後、学生が提出したレポートを岩橋氏にお渡しさせていただきました。
現在、A 市の「生活支援体制整備研究会」は「もやいネット〇〇〇」と改称され、若干の委員の交代はありましたが、岩橋氏には引き続き委員として頑張っていただいております。こうして岩橋氏とは、ここ数年、高齢期の支援を地域で包括的に確保する「地域包括ケアシステムの構築」に取り組んできましたが、令和の時代は、この考え方を、障害のある人、子どもなどへの支援にも普遍化することを通して「8050 問題」や「ダブルケア」などにも対応できる地域共生社会の実現に向けた体制づくりに移行するため、今以上に株式会社友心岩橋氏にはご尽力をいただきたいと願っています。